沖縄をルーツに発展してきた絣織物の「琉球絣」。ご存知でしょうか。独特な模様が懐かしい気持ちを思い起こさせてくれる着物。昔に比べて、着物を着る人口が減った今でもいまもなお根強い人気があります。今回はこの琉球絣についてお話していきたいと思います。

琉球絣はどんな着物?

琉球絣

出典:http://aoki-aoki.shop-pro.jp/?pid=121152081#

 

絣の着物には様々な種類がありますが、その中でも琉球絣は絣を使った着物が広まる発端となった存在と言われています。反物には自然のモチーフが描かれており、お気軽に着られる着物の一つ。琉球絣と言えば、大正時代までは藍染めの生地に白絣が特徴的でしたが、最近では色味も豊富で多種多様な着物が増えています。昔は素材として木綿生地が使用されることが多かった琉球絣。現代では90%以上が絹素材です。

 

また従来は沖縄の植物を利用した植物染料で染められていましたが、最近では化学染料の力も借りて、色彩感豊かな琉球絣が楽しめるようになりました。それゆえ、日常的な着物が多いのも特徴ですが、ほぼ手織りであるため、価格もわりと高価なものが多いです。どちらかというと、年齢層が高めです。そのような経緯もあり、もっと琉球絣のよさを広めたいという地元の方の想いから、その特徴的な柄を生かして、着物の他にもネクタイ・バッグなどの小物にも力が注がれています。

琉球絣のルーツとは?

沖縄で織物というと何だかイメージが湧きにくい方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は沖縄は類まれないほど織物の種類が豊富な地域なのです。不思議な気分になりますが、そのルーツは大交易時代にまで遡り、東南アジアとの交流によってもたらされました。14~15世紀に貿易によって「絣」がインドから東南アジアに伝わり、それらが交易国の琉球王国(沖縄県)に伝えられることになります。その土地の人々の手によって、沖縄の地域の気候や自然を生かした織物として発展していくようになりました。そして、琉球絣を発端として、薩摩絣・久留米絣など数々の「絣」生地が誕生していき、18~19世紀に日本国中に絣の着物が広まっていったと言われています。

なかでも琉球絣の産地と言われるのは沖縄県那覇市や島尻郡南風原(はえばる)町。とくに南風原町でつくられた琉球絣のみが経済産業省指定伝統的工芸品として認定されています。この南風原町は那覇市に隣接しており、「琉球かすり」の工房が軒を連ねていることで有名。ちなみに、絣の語源は、織物の模様がかすむように見えることに由来しています。

琉球絣のつくり方の工程

琉球絣の工程は多くの職人の分業作業によって、成り立っています。それぞれが家業を営み、各々の工程を担当しているという点は大島紬と似ているでしょう。厳しい日差しを受けても丈夫で、色があせることのないと言われている琉球絣。全国の手織り業は機械を導入して大量生産に近い状態ですが、沖縄県はほぼ100%手織りと言われています。それゆえ、どこか温かみを感じるのかもしれません。

大まかな工程は「図案設計」「糸をつくる」「染色」「糸を織る」「製織」に分類できますが、さらにそれぞれが細分化されているというから、驚いてしまいます。なかでも、絣くくりという過程では、のり付けした糸を図案通りになるように、部分的に染めていく作業が行われています。このように、図案が緻密であればあるほど高度な技術を要するため、職人の熟練した技が求められます。

<琉球絣の模様>

琉球絣 模様

出典:http://www.town.haebaru.lg.jp/kankou/docs-kankou/2015020200031/

 

琉球王府時代から伝わる、いわゆる柄見本ともいえる「御絵図帳」をもとに、職人たちが幾何学模様を特徴とした図案を考えます。当時の首里の王侯貴族や氏族の着物を作るときには、御絵図の中から図案を選び、制作されていました。この中におさめられている図案の数ときたら、何と全部で600種類ほどの模様が存在するようです。

トゥイグワー

(柄:トゥイグワー(鳥))

ビックー

(柄:ビック―(亀甲))

出典:https://www.haebaru-kankou.jp/index.php/texitile/ryukyu-kasuri.html

 

年月が経つにつれて、いくつかの図案を組み合わせたり、現代的な感覚も取り入れられたりしながら職人のオリジナリティが生かされるようになってきました。もともとは「インヌイサー(犬の足)」「ツバメ」「マユビチー(眉引)」「トゥイグワー(鳥)」「ビック―(亀甲)」などの日常の暮らしの中で登場する生活用具・自然・動植物が模様の基盤を作っています。それぞれの柄の名称には沖縄の方言で名付けられていることも琉球絣ならではの特徴。

まとめ

今回は琉球絣についてお話させていただきました。いかがでしたでしょうか。沖縄県は染織伝統工芸の宝庫とも言われている地域です。その中でも琉球絣は琉球王朝時代の輝かしい時代から現代にいたるまでの沖縄の人々が持つ伝統文化への郷土愛や暮らしへの想いを織り綴ったものです。端正な着物の反物のなかにも、美意識や職人の息づかいが詰まっています。